これは筆者が体験した、玄関に現れたヤモリとの格闘記です。ヤモリの完全な対処法ではございません。ヤモリについて詳細に書いているため、苦手な方はお戻りいただいた方がいいかもしれません。
ヤモリとの遭遇
私の家はあるアパートの3階にありました。
ある日、仕事を終えて20時ごろにアパートの階段を上り玄関の扉の前に着くと、扉の右上辺りの壁にヤツがおりました。
最初、トカゲなのかヤモリなのかイモリなのかわからず、ググって画像を見てみると、ヤモリであることがわかりました。
濁ったベージュのような色の体に、カエルのような足。虫が苦手な私は当然、ヤモリを「気持ち悪い」と思いました。
ヤモリがこちらに向かってこないようにと、息を潜めて玄関の扉を開け、部屋の中に入りました。
まさかこの日から、毎日ヤモリを恐れる生活になるとは思いもしませんでした。
次の日、同じように20時ごろに玄関の前にたどり着くと、今度は扉の上の壁にヤモリがおりました。
扉を開けた時にヤモリが侵入するといけないので、どうにかヤモリが遠くに行かないかと思い見つめていると、こちらに気づいたのか屋根の方に上がっていきました。
そして無事に部屋に入ることができました。
2日連続でヤモリに遭遇したことで、今後も遭遇するかもと思いモヤモヤとした気分になりました。
そしてまた次の日、私の嫌な予感は的中しました。
やはり扉の上の壁にいるのです。辺りを見回していると、なんとお隣さんの玄関の上にもいたのです。
この近くに住んでいるヤモリは一匹ではないのかと、私は絶望しました。
そしてこのような、ヤモリと遭遇して恐る恐る部屋に入る生活を一週間ほど続けました。
どうやら明るい時間に帰ると、ヤモリはいないようでした。
ヤモリの侵入
ある休日の朝、ゴミ捨てをするために外に出ました。
そして何も考えずに部屋に戻ると、玄関から入ってすぐの白い壁に尻尾のあるなにかが張り付いていました。
そうです。ヤツです。
私はそれを見てひどく困惑しました。
どうやって追い出せばいいのだろう、殺せるのだろうか、奥の部屋に侵入しないだろうか、、、
無数の不安が頭の中を覆い尽くしました。
私の部屋は、玄関から入ってすぐの右側に洗濯機が置いてあり、洗濯機と壁の隙間には使用していない折り畳み式の物干し竿を置いていました。
ヤモリが張り付いていたのは、その洗濯機横にある物干し竿の上付近の壁です。
私はとりあえず、いつも虫が侵入してきた時と同じように、ヤモリにキンチョールを吹きかけました。
びくともしなかったため、もう一度長めに吹きかけてみました。
するとヤモリは壁から落下し、物干し竿に体をぶつけ、洗濯機置き場の床付近で見えなくなりました。
物干し竿に体をぶつけたときのヤモリの動きは、爬虫類らしく体がくねりと曲がりとても気持ちが悪かったです。
死んだのかと思い洗濯機置き場横の隙間の床を見てみると、ヤツがムクっと動きました。
そうか、こいつには殺虫剤は効かないのか、、、。
私はまた絶望的な気持ちになりました。
どうにか追い出さねばと、玄関にあった段ボールを千切り、恐る恐るヤモリがいるところに段ボールを突っ込んでみました。
するとヤモリは動き出し、見えなくなってしまいました。
洗濯機の下の隙間に入ってしまったのです。もう最悪です。
私は冷静さを失ってしまいました。
洗濯機の下は水を張ることができたので、ペットボトルで水を入れてみました。
そうしてヤモリが洗濯機の下から出てくることを期待しましたが、四隅の水が張られていない部分に移動してしまいました。
もう為す術もないので、玄関を開けて、ヤモリが自分から出ていくことを祈りました。
私がヤモリをじっと見ていると、時折玄関の外に顔を向けていましたが、全然出てきませんでした。
そこでもう少し遠くに離れ、目を離してみました。
すると洗濯機の下から体半分を覗かせていました。
よし、出ていけ!!!!
と思い凝視したらまた奥に入ってしまいました。
どうやら私が見ていると、警戒して出てこないようです。
それからヤモリとだるまさんがころんだをしていました。
私は途方に暮れていました。
そんな時でした。いきなりヤモリが意を決したように洗濯機の下から駆け出し、玄関の外に出ていきました。
私とヤモリとの戦いは終わりました。
3時間にも及ぶ戦いでした。
もう一生経験したくないと思いました。
ヤモリは「家守」とも言われていますが、家を守るどころか、確実に私の生活を脅かしていました。
原因と対策
どうやってヤモリが侵入したのかを考えました。
今まで日中にヤモリを見たことはなかったので、日中はどこにいるのか。
いつも玄関外の壁にいる時は、室内に侵入してこないのになぜ侵入したか。
ある日仕事から帰ってくると、玄関の扉にヤモリが張り付いていました。
これは困ったと思い見つめていると、なんと扉の左側にある隙間に入り込んでしまいました。
このままでは扉を開けた瞬間に、室内に入ってしまうかもしれない。
そのときは幸いにも宅急便の人が宅配に来て、お願いしたらヤモリを出してくれました。
またある日、朝仕事のため家を出ようと扉を開けると、扉上部でヤモリが勇ましく首を伸ばしていました。
ぞっとしてゆっくり扉を閉めるとヤモリはいなくなりました。
家に侵入した原因は、ドアの隙間ということがわかりました。
どうすべきか考えを巡らせ、100均で隙間風防止のスポンジのようなテープを購入しました。
また、ヤモリを思い通りの方向に逃すために、植木鉢に刺す細い棒も購入しました。
それから私は無敵になりました。
扉の隙間に入れないので、部屋に侵入してくることもない。
扉にいても細い棒でトントンすれば逃げていく。
その後、玄関のヤモリは多い時で4匹いましたが、侵入することはなくなりました。
※補足ですが、ヤモリの忌避剤としてはあまりドラッグストアなどで販売されていないヘビ用のものが存在しています。使い方がわからず、本当に効果があるか分からなかったため、使用しませんでした。
また、ヤモリの主食は虫なので、虫コナーズを玄関に置いていましたが、全く効果はありませんでした。
ヤモリとの別れ
夏の期間、私は毎日のようにヤモリと遭遇していました。
だんだんと玄関にヤモリがいるという状況に慣れ、たまにいないことがあると珍しいと感じていました。
ときには、大きめのヤモリが小さいヤモリと一緒に壁に張り付いていることもありました。
子孫を受け継ぐということは、今後もヤモリがいなくならないことを意味しており、微笑ましい気持ちと嫌な気持ちが交錯しました。
私が玄関に立つと、だいたい逃げていくので、その姿が滑稽で面白いと感じたこともありました。
そしてムシムシとした夏の暑さが消え、秋になったときに、ヤモリが姿を現すことはなくなりました。
嬉しい気持ちがもちろん大きいですが、少し寂しい気持ちもありました。
その気持ちを短歌として残し、終わりとします。
秋になり 玄関のヤモリ どこへやら 毎夜の恐怖 なぜ恋しき